キャリアアップ助成金・正社員化コースの申請フロー【平成31・令和元年度】

人手不足の現代。
人手を確保するのに苦心している事業主様も多いことかと思います。
 
そこで、現在御社で働いている有期雇用の契約社員や有期パート従業員を
正社員に登用しませんか?
 
この制度を利用すると、国から57万円の助成金が支給されます。
現役実務者の筆者が、具体的な手続きの流れと、注意点をレクチャーいたします!
 
追記:よくある質問について記載しました。対象になる労働者や令和元年度から変更になる点をまとめています。 → Q&A
 
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キャリアアップ助成金って?

 
「キャリアアップ助成金」は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者
といった、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップなどを促進するため、
正社員化、処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成する制度です。
 

いくら貰える?

1.有期雇用の契約社員やパートタイマーを正社員に転換する場合

  有期 → 正規 … 57万円

2.有期雇用のパートタイマーを無期雇用パートタイマーに転換する場合

  有期 → 無期 … 28.5万円

3.無期雇用の契約社員やパートタイマーを正社員に転換する場合

  無期 → 正規 … 28.5万円

 

※その他に、母子家庭の母や生産性要件にあてはまる場合など加算あり

対象となる事業主

・雇用保険の適用事業所であること

・雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること

 →キャリアアップ管理者は後述する計画書の届出の際に選出します。

 →キャリアアップ管理者は事業主でもOKです!

 

・雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対しキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の認定を受けた事業主であること
 
・該当するコースの措置に係る対象労働者に対する賃金の支払状況等を明らかにする書類を整備している事業主であること
 
 →雇用契約書、賃金台帳、出勤簿を作成し、法律を遵守することが肝要です。
 
 チェックポイントとしては、
1.契約書に書かれている労働条件は法令に違反していないか?
2.賃金は契約および法令どおりに支払われているか?
3.最低賃金法に定められている最低賃金は守られているか?
4.割増賃金は適切に支払われているか?
 などがチェックポイントとなります。
 
不安があるようでしたら、社労士やお近くのハローワークで相談してみると良いでしょう。
 
・キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること
 

助成金が受給できないケース

次のいずれかに該当する事業主は、助成金を受給できません。

 

・労働保険料を滞納している事業主

・過去1年間に、労働関係法令の違反を行った事業主

・性風俗関連の事業である事業主

・暴力団とかかわりがある事業主

・暴力主義的破壊活動を行ったまたは行う恐れがある団体等に属している事業主

・支給申請日、または支給決定日の時点で倒産している事業主

・支給決定時に、雇用保険適用事業所の事業主でない事業主
 →原則、雇用保険被保険者数が0人の場合や、事業所が廃止されている場合等を指します。
 

フロー1:キャリアアップの計画を立てる

キャリアアップ計画とは?

有期契約労働者等のキャリアアップに向けた取り組みを計画的に進めるため、
今後のおおまかな取り組みイメージ(対象者、目標、期間、目標を達成するために事業主が行う取り組み)をあらかじめ記載するものです。

ひな形は厚生労働省のホームページからダウンロード可能

キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金の制度や支給要件等について紹介しています。

上記の厚労省のホームページから様式がダウンロードできます。

ここでは具体的な記載方法についてまとめます。

 

「キャリアアップ計画期間」

3年以上5年以内の計画期間を定めてください。

最大の5年に設定することをお勧めしています。

ちなみに、この計画期間の開始日は、転換日ベースです。

対象者を雇用した日ではありませんので、注意しましょう。

 

「キャリアアップ管理者」

先ほど書いたように、事業主様でもOKです!
 
 
「キャリアアップ計画」
何を書けばいいのか、わからない…という方は、作成例通りに書いてしまってOKですよ。
 
「労働者代表」
雇用保険加入被保険者であることが望ましいです。
窓口で、本当に在籍している人か?ということをデータ上で確認されます。

就業規則にキャリアアップ規定を定めましょう

キャリアアップ助成金に取り組むためには、正社員転換制度を就業規則に定める必要があります。

制度の内容は厚労省が配布しているパンフレットを流用してもいいです。

転換時期の項目については、「転換時期は随時」としたほうが、中小事業主様には使い勝手が良いと思います。

例えば、「転換時期は4月」と限定してしまった場合、それ以外の時期に正社員転換した人は対象外になってしまうので。

施行日に注意!

就業規則の施行日は転換の取り組みを行う日前の日付であることが必須です。

施行日が取り組みの日より後になってしまうと、それ以前の転換は助成金申請できなくなってしまいます。

フロー2:正社員(または無期雇用)への転換を行う

勤続6か月以上3年未満の人のみが対象となります。

有期雇用から正規雇用に待遇改善することと

賃金をアップさせることが要件となります。

 

※注意 転換日時点で対象労働者を雇用保険に加入させていない場合は、対象外となります。必ず雇用保険の被保険者としてください。

賃金を5%以上アップさせる

ここでの「賃金」は月々固定で支給されている手当を含みます。

例)資格手当、職務手当など

 

賞与でも可能です。その場合は就業規則に支給時期と支給対象者を定めましょう。

就業規則例)賞与は原則として毎年7月と12月に支給する。支給対象者は支給日時点での在籍者とする。

フロー3:支給申請を行う

転換後6か月が経過したら、いよいよ支給申請です。

転換後6か月分の賃金を支給した日(給料日)から2か月以内に申請してください。

1日でも超えてしまうと受付をしてもらえません。期限は必ず守りましょう!

 

必要書類

キャリアアップ助成金支給申請書(厚労省様式)

支給要件確認申立書(厚労省様式)平成31年度(令和元年度)から様式が変更となりました。

正社員化コース内訳(厚労省様式)

対象労働者詳細(厚労省様式)

支払方法・受取人住所届(初回申請時のみ)

対象労働者の雇用契約書

 →転換前の有期契約内容がわかるものと、転換後の正規等契約内容がわかるもの

対象労働者の賃金台帳

 →過去1年分

対象労働者の出勤簿またはタイムカード

 →過去1年分

賃金要件確認書類(厚労省様式)

登記簿謄本または事業主確認票(厚労省様式)

転換制度が規定されている就業規則

キャリアアップ計画書の写し

 

※その他に書類を求められる場合がありますが、職員の方の指示に従って用意すれば大丈夫です。

フロー4:支給決定通知

ここまで来ればあとは支給決定を待つのみです!

現在、審査は申請した日から5~6か月程度を要します。(東京都の場合)

申請した書類の控と決定通知書は大切に保管しておきましょう。

キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金の制度や支給要件等について紹介しています。

 

よくある質問について書きました。

令和元年 キャリアアップ助成金Q&A
前回記事に続き、キャリアアップ助成金・正社員化コースのよくある質問に回答します。対象者について...

 

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